概要
Amazon SES(Simple Email Service)を使用してメールの送受信を行うには、管理可能なドメインが必要です。この記事では、Amazon Route 53を使用して.clickドメインを取得し、DNS設定を行う方法について説明します。
前提条件
この記事を進める前に、以下の要件を満たしていることを確認してください:
- AWSアカウント: 有効なAWSアカウントを持っている
- IAM権限: Amazon Route 53に対する適切な権限(ドメイン登録、ホストゾーン管理)
- 支払い方法: 有効な支払い方法がAWSアカウントに登録済み
- 基本知識: DNSの基本概念(A、MX、NSレコードなど)
注意: ドメイン登録には料金が発生しますが、.clickドメインは比較的安価で取得できます。
下記料金表は2025/9/4現在のものです。
実装手順
ステップ 1: .clickドメインの選択理由
メリット:
- 比較的安価で取得可能
- Amazon Route 53で直接取得・管理が可能
- Route 53での一元管理により管理が簡単
注意事項:
- 本格運用では独自ドメイン(.com等)の利用を推奨
- 本記事ではテスト・検証目的で.clickドメインを使用
ステップ 2: Amazon Route 53でのドメイン登録
2.1 AWSマネジメントコンソールでRoute 53を開く
- AWSマネジメントコンソールにサインインします
- サービス検索で「Route 53」を検索し、選択します
- Route 53ダッシュボードが表示されます
2.2 ドメインの登録
- 左側のナビゲーションペインで 「登録済みドメイン」 を選択します
- 「ドメインを登録」 をクリックします
- ドメイン名検索ボックスに希望するドメイン名をTLD (.click) を含めて入力します
- 「検索」 をクリックします
2.3 ドメインの選択と設定
- ドメインが利用可能な場合、アクションの「選択」 をクリックします
- 「チェックアウトに進む」 をクリックして連絡先情報の入力に進みます
- ドメインの期間と自動更新を設定します。
長期運用するのであれば、「自動更新」をオンにしておきましょう。 - 必要な連絡先情報を入力します:
- 登録者の連絡先
- 管理者の連絡先
- 技術担当者の連絡先
- 請求先の連絡先
注意: プライバシー保護は有効にしておきましょう。
WHOISデータベースでの個人情報公開を防ぎます。
2.4 注文の確認と送信
- 注文内容を確認します
- 利用規約に同意します
- 「送信」 をクリックします
2.5 メールアドレス認証と登録完了
- 登録したメールアドレス宛にアドレス認証用メールが送信されるため、メールの認証用URLにアクセスします
- 認証を行ったら、ドメイン登録が完了です。登録完了のメールが送信されるので確認しましょう。
ステップ 3: ホストゾーンの確認
3.1 ホストゾーンの自動作成確認
Amazon Route 53でドメインを登録すると、ホストゾーンが自動的に作成されます。
- Route 53コンソールで 「ホストゾーン」 を選択します
- 登録したドメイン名をクリックします
- 以下のレコードが自動作成されていることを確認します:
- NSレコード
- SOAレコード
ステップ 4: 次回準備 - MXレコードの理解
4.1 MXレコードとは
MX(Mail Exchange)レコードは、ドメイン宛のメールを処理するメールサーバーを指定するDNSレコードです。
4.2 Amazon SES用のMXレコード設定(参考)
次回の記事で設定するMXレコードの例:
Type: MX
Name: example.com
Value: 10 inbound-smtp.ap-northeast-1.amazonaws.com
TTL: 300
パラメータ説明:
- Priority: 10(数値が小さいほど優先度が高い)
- Mail Server: Amazon SESの受信エンドポイント
- TTL: Time To Live(キャッシュ時間)
重要: 実際のMXレコード設定は次回の記事で詳しく説明します。
まとめ
この記事では、Amazon Route 53を使用して.clickドメインを取得し、基本的なDNS設定を確認しました。
次回は、このドメインを使用してAmazon SESでメール受信を設定し、受信したメールをAmazon S3に保存する方法について説明します。
📚 連載ナビゲーション
- 👉 次の記事: 第2回:Amazon SESメール受信編 - 受信設定とS3連携
執筆者:株式会社Q’sfix